Marionette


 私はマリオネットを見ているとどこか寂しげな感じを受けてしまいます。それは自分の意思では行動出来ず、常に人に操られつつ自分の思う様に動き回りたいときっとどこかで思っているような気がしてならないからです。

 時には糸が切れたり絡み合ったりして身動きができなくなったり、そんなトラブルの中でも動ける瞬間まで何も言わずにじっと耐え、でも操られながらも動きが可能になれば見る人の心をとらえ幸せを与えてくれる。人の心を和ませてくれる。どこかぎこちない、どこかおどけた動作、それらが人々に楽しさを与えてくれる。

 しかし、操る側が操作を誤ったとしたら、きっとマリオネットの所為にして責任をすり替えてしまう事も多いのではないでしょうか。きっと新しいものと取り替えてしまうでしょう。本質が何も変わっていない事に気づかなければ、捨てられるマリオネットは後を絶たないでしょう。これが人間社会に置き換えられるとしたら、ゾッとするものを感じます。

 人々に楽しさを与え和ませてくれるマリオネットですがどこか寂しさを感じてしまいます。


 ピアニスト、織茂学(おりもまぶ)の委嘱により2004年に創作した作品です。4分の5拍子に始まり急緩急の公正になっています。

 初演は2004年11月、同氏のリサイタルにて行われました。