Dream of S. Dali / サルバドール・ダリの夢 for Euphonium Solo & Piano


01 倫理学者の悪魔     1:24

02 幻想の闘牛士      1:29

03 時(間)のプロフィール 1:58

04 回顧的な女の胸像    1:43

05 聖アントワーヌの誘惑  1:40

 

 この作品は、2008年11月6日に創作され、2010年7月11日に非公開で開催された「2010年度 大房先生門下 おさらい会」にて、大房美穂 先生(Euphonium)、大川香織 氏 (Piano)の両氏によって初演されました。

 小品の5曲から構成され、それぞれ画家であるサルバドール・ダリ作品のタイトルが付けられています。

 ダリの作品を目にした時、瞬時に含嗽的な世界へ吸い込まれ、夢心地の様な感覚を覚えます。その印象を作品に表したものです。


 1曲目の「倫理学者の悪魔」は、ダンテが著した「神曲」の挿絵で、口からは両足が伸び、頭部からは骨の様なものが頭蓋骨を割って飛び出し、身体は筋肉の筋らしきものが描かれ、それらが大きな岩の様にも感じさせられ、絵の解説によると「ドラマチックな挿絵」になっています。

 2曲目の「幻想の闘牛士」は闘牛場へ進む闘牛士の彫刻ですが、絵の解説によるとトランペットとありますが、サリュソフォーンの様な楽器を頭からスッポリ肩までかぶり、その楽器には何故かスプーンが沢山つけられ、また台座になっている太鼓にも沢山のスプーンがつけられており、何かちょっとコケティッシュな印象も持ちました。

 3曲目は、作曲者がもっとも気に入っている彫刻の一つで、「時(間)のプロフィール」です。水飴の様に解けている時計が木に掛けられており、その時計からしずくが一滴、二滴と...。何とも悲しげですが、非常に強く引きつけられてしまいます。

 4曲目は「回顧的な女の胸像」ですが、額を見ると胡麻をまぶした様に蟻が描かれ今にも動き出しそうな感じです。頭にはフランスパンを帽子の様にのせ、更にその上には農夫婦がお祈りをしている様に佇み、その横には大きな絵筆がおかれています。どうしたらこのような発想が浮かんで来るのだろうと凡人は考えてしまいます。

 終曲は「聖アントワーヌの誘惑」です。幾つかの象が細長い蜘蛛の足を持ち、身体は上空にあります。「ダリは地上を離れて天体に達しようとしている」と解説にありましたが、凡人は「ウ〜ンン...。」と悩むだけです。


 写真は初演をして下さった大房美穂先生です。

 大房先生は、演奏活動はもちろんの事、武蔵野音楽大学、昭和音楽大学をはじめとし、多くの後進の指導にもご尽力されています。