Suite From the home of my heart / 組曲 我が心のふるさとより


 この作品は神奈川県南足柄市に拠点を置く足柄ウインド・オーケストラの委嘱により、2007年9月に完成されました。作品は全部で7曲の小品で構成され、それぞれ地域にちなんだタイトルがつけられています。総タイトルは団員の方のアイディアによるものです。

 初演は2008年4月27日、作曲者自身の指揮、同吹奏楽団によって行われました。


 写真は、本番直前のリハーサル風景です。 指揮は同吹奏楽団常任指揮者の斉藤隆夫先生です。



組曲 我が心のふるさとより


1、「大雄山」 2、「地蔵堂」 3、「川の流れ」 

4、「洒水の滝」 5、「夕日の滝」 6、「狛犬」 

7、「祭り」


 1、「大雄山」 人は心を寄せ、安らぎを求める

 伊豆箱根鉄道大雄山線の終点に大雄山駅があり、そこから西に向かって進むと緑が深くなり、参道を挟んで杉並木が続くようになります。そしてその先には由緒ある「大雄山最乗寺」があります。境内には仁王様ならぬ天狗様が阿吽の形で訪れる人を迎えてくれます。また畳み一畳以上もある大きな下駄も奉納されており、その大きさには驚かされます。


 2、「地蔵堂」 静かに佇み、安らぎをもたらす

 紅葉が広がりつつある静かな田舎道の傍らに小さな祠があり、静かに人々を見守っているように、また何か語りかけてくるような、ジーッと見ていると何故か心が安らぎます。


 3、「川の流れ」 水は大地を緑に変え、時には荒れ狂う

 南足柄市内や近郊には幾つかの川が流れ、時代を超えて人々に恵みをもたらしてきましたが、時には洪水や氾濫など、荒れ狂うこともあったでことしょう。自然には感謝するとともに偉大さも感じます。


 4、「洒水の滝」 降水は雅やかに流れ、人に力を与える

 「全国名水100選」にも選ばれている「洒水の滝」、雅な雰囲気を醸し出すのは赤い欄干の景色によるものでしょうか。降水を見ていると、その雅で幻想的な景色に吸い込まれしまいそうになり、何故か力が漲(みなぎ)るような気がしてきます。


 5、「夕日の滝」 水は人を育み、伝説を作る

 金太郎が産湯につかったといわれる「夕日の滝」。豪快な降水は人に勇気を与え、力も沸き立たせるような気がします。その金太郎もきっと勇気と力を育んだのではないかと想像します。


 6、「狛犬」 安らぎを与え、幸せをもたらす

 「大雄山最乗寺」の境内に珍しい狛犬があります。それは子犬(?)がおっぱいを吸っている狛犬。災いを吸い取ってくれるということで信心深い方も多いようです。微笑ましく、拝見しているだけでも安らぎを覚えます。


 7、「祭り」人は疲れを忘れ、神に感謝する

 国の文化財にも選ばれている「ささら踊り」から「扇踊り」のメロディをテーマに用いています。そのメロディは素朴ではありますが力強さを覚え、人々が大地に感謝し、自然に感謝し、神に感謝する気持ちが込められているような気がします。